大仏開眼 前編

NHKが90分枠で2週連続のドラマを放送するなんてなかなか無い気がしますが、
僕の気のせいでしょうか
わざわざ枠の長さを見ていないので、
坂の上の雲以来だと勝手に思っています


結構大作になってると思います
僕の好みからかもしれませんが、初めてこの番組のCMを見たときに、
「これは絶対見よう」って思いました
なかなか奈良時代を描くドラマは少ない気がしますし、
大河ドラマでも扱われたことはないんじゃないでしょうか
そんな中でのこのドラマは、新鮮味がありました
CMの最後の「大仏 開眼」という声がものすごくかっこよかったです


なんかCGにちょっといまいち感があるのが残念です
あと、天然痘の再現がかなりきつかったです
滅多に見るもんじゃないですね


物語の始まりは吉備真備が唐から帰ってくるときですが、
彼は唐で20年近くも過ごし、帰ってきたときにはすでに41歳ほどだったんです
人間五十年(長くても50年)といわれた時代よりももっと昔のことですから、
この時点で結構いい年齢なんですね
ところが吉備真備は80歳まで生きてしまうという、
現代での平均寿命さえ超えるすごい人でした
物語の始まりでは真備は41歳なので、
それを考えると真備役の吉岡秀隆さん(39歳)はあった年齢ですが、
41歳役とは思えないほど若く見えませんでしたか?



ドラマ中で出てきた二人の僧といえば、いうまでもなく玄ぼうと行基ですが、
二人とも実は同じ法相宗なんです
法相宗はあまり有名ではないかもしれませんが、
実は結構有名なんですよ


法相宗大本山の一つは奈良の興福寺です
興福寺の国宝館には、玄ぼうの像があるらしいです
その国宝館は、今年の3月にリニューアルオープンして、
展示点数が増えて照明も改善され、
多くの仏像をガラスケース無しで見られるようになったみたいですよ


もう一つの大本山が同じく薬師寺です
薬師寺の東塔は、平成31年まで行われる解体修理の、調査のために、
足場が組まれて覆いで覆われて見えない状況になっています
ですが、
平城遷都1300年を祝うために、今年の春から秋の間はその覆いが外されて、
東塔を見ることが出来るようになるみたいです
平成31年」というのを見て、
平成生まれの僕はなぜか「平成が年号らしくなってきたなぁ」と感じました
なんででしょうね
「年号らしい」ってどういうことなのか自分でも分かりません
その平成31年は2月1日に直径2kmの小惑星が接近してきて、
25万分の1の確率で地球に衝突するそうです
どーでもいいですね



藤原広嗣が九州で挙兵した藤原広嗣の乱についてですが、
大養徳守から大宰少弐に任じられたことを左遷と感じたため、
としか説明されていなかったかもしれませんが、
実は挙兵する前の8月29日に、
真備と玄ぼうを処分するよう上表を送っているそうです
つまり、自分が左遷されたのは2人が重用されたせいだということでしょう
しかし、
5日後の9月3日には、都に広嗣が挙兵したという知らせが入ったそうです
8月29日が使者が「九州を出た日」か「都に着いた日」かは分かりませんが、
いずれにしても5日間で使者が返答を携えて九州に帰れるとは思えません
しかも、9月3日は都に知らせが入った日であり、挙兵した日ではありません
つまり広嗣は、上表を送っておいて朝廷の出方も見ずに挙兵したんです
ということは、広嗣にとって上表などどうでもよかったことになります


一方都にいた藤原仲麻呂ですが、広嗣を討つと称して戦支度をしていました
もちろんなそんなことをするはずはなく、広嗣に呼応しようとしていました
集められた兵は真備と玄ぼうを討つような兵力ではありません
むしろ2人を重用した橘諸兄を討つものです
仲麻呂にとって2人を討つより諸兄を討った方が好都合です
政治を担っているのが諸兄で、諸兄がいなくなれば藤原氏が実権を握れます
それに、
諸兄がいなくなれば、諸兄に重用された真備と玄ぼうも失脚させられます
広嗣にとってはどうでしょうか
広嗣も仲麻呂と同じく藤原氏の勢力回復を狙っていたでしょうから、
真備や玄ぼうより諸兄が消えた方がよかったはずです


つまり、上表はもともと意味をなさないものだったということになります
では何のための上表だったんでしょうか
挙兵の大義名分を作るためにしては弱すぎます
Wikipediaにはこうあります

すると、広嗣は下馬して拝礼し「わたしは朝命に反抗しているのではない。朝廷を乱す二人(吉備真備と玄ぼうを罰することを請うているだけだ。もし、わたしが朝命に反抗しているのなら天神地祇が罰するだろう」と言った。常人らは「ならば、なぜ軍兵を率いて押し寄せて来たのか」と問うた。広嗣はこれに答えることができず馬に乗って引き返した。



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そのため、Wikipediaからの引用文中でも「玄ぼう」と表記しています